www.metalworkingmag.jp
HAIMER

金属加工におけるサステナビリティ: ツールホルダーはどのような役割を果たしますか?

プロセス全体を見渡す

金属加工におけるサステナビリティ: ツールホルダーはどのような役割を果たしますか?


サステナビリティへの配慮は現在「トレンド」になっています。金属加工とそれに使用される装置も例外ではありません。ツールホルダーなどの個々の要素が考慮されることがよくあります。ただし、本当に持続可能な行動をしたいのであれば、そのような細部にあまり焦点を当てるべきではありません。プロセス全体の利点を逃してしまう可能性があります。

サステナビリティは、当然のことながら私たちにとってますます重要性を増しているテーマです。資源は限られており、エネルギーはますます高価になっています。サステナビリティを評価するときは、製品に限定的に焦点を当てるのではなく、環境、つまり製品のライフサイクルや製品が統合されるプロセス全体も考慮することが重要です。

金属加工におけるサステナビリティはどのように考えられますか?
金属加工にはさまざまな側面があります。材料、部品の形状、数量に応じて、機械、工具、治具が使用されます。生産場所、従業員の資格、自動化の可能性などの外部状況も考慮する必要があります。個々のケースに応じて、経済的、持続可能なソリューションとなる製造方法が多数あります。

サステナビリティはどのように測定されますか?使用される材料とは別に、エネルギー効率が持続可能なプロセスであるかも要因の一つです。生産時のこれらの最大消費プロセスを探し出し、最適化することがサステナビリティへの最適なアプローチです。

工作機械はコスト削減の節約の可能性を秘めています
金属加工において、エネルギーの大部分を消費しているものは間違いなく工作機械です。主軸や駆動装置、周辺機器、冷却、潤滑、圧縮空気供給などの補助装置で使用されるエネルギーは大量です。

新しい機械を購入する場合、ユーザーは省エネコンポーネントに注意を払うことで消費量を大幅に削減できます。ツールホルダー技術のマーケットリーダーであるHAIMERグループの社長 アンドレアス・ハイマー氏は次のように説明しています。「当社の自社生産では、同じ加工プロセスを使用する古いマシニング センターを新しいマシニング センターに置き換えると、必要なエネルギーが約30% 削減されることがわかりました。」彼はもう一つの基本的な要素を付け加えています。「私たちは家族経営なので、サステナビリティに細心の注意を払っています。製品の鋼材をドイツ国内で調達し、長年にわたり再生可能エネルギーとして太陽発電を使用しています。太陽エネルギーシステムとグリーンインフラにより、昨年度は総額100万ユーロ以上を投資し、年間250トン以上のCO2を節約しました。」

機械の話に戻ります。すべての古いマシニングセンターを新しいものに置き換えることができるわけではありません。従来の機械でも加工方法を改善することにより、加工時間短縮にもつながります。アンドレアス・ハイマー氏は具体的な例を挙げています。「あるユーザーでは、HAIMERパワーシュリンクチャックとHAIMER MILLを使用したトロコイド加工により、加工時間を75%短縮(71分から18分)を実現したデータがあります。加工方法の改善により、消費電力が大幅に削減され、省エネ効果を実現しました。

従来の加工では10個の部品に対して主軸負荷が80~85%で、総エネルギーコストが約150ユーロでしたが、トロコイド加工では主軸負荷が8~10%で、機械の稼働時間が大幅に短縮されました。エネルギーコストは10 部品あたり合計5ユーロに削減されました。これはつまり、生産される部品あたりのエネルギー消費量が少なくなり、生産量が増加することを意味します。私達はそれを持続可能で効率的であると呼んでいます。」

ツールホルダーのサステナビリティ:総合的なアプローチ
加工プロセス全体を見たときに、ツールホルダーがどのようにサステナビリティに貢献できるかについて考えたことがありますか?工作機械が平均約30kWを消費します。それ以外に油圧、空圧装置、自動化装置なども工作機械に付随しています。ツールホルダーに使用されるエネルギーはシュリンクフィットチャックの場合、工具着脱時に発生する加熱エネルギーです。これは工作機械で使用されるエネルギ―と比べるとわずかなものです。

しかし、ハイドロチャックやミーリングチャックなどの他のクランプシステムと比べると工具着脱時のエネルギー消費が高いものになります。そのため、生産、メンテナンス、廃棄を含むツールホルダーのライフサイクル全体を見ると、まったく異なる状況が見えてきます。

ハイドロチャックは構造が複雑であるため生産に非常に多くの労力とエネルギーが必要です。個々の部品の高精度な機械加工に加えて、スリーブのはんだ付け、はんだ接合部の破損を防ぐための追加の熱処理及び洗浄、組み立て、油の充填など様々なエネルギーが必要です。

「私たちの経験から、生産に必要なエネルギーはシュリンクフィットチャックの約3倍です」とアンドレアス・ハイマー氏は説明します。「シュリンクフィットチャックに加えて、私達はハイドロ油圧チャックも提供していますが、生産プロセスが複雑なため、価格はシュリンクフィットチャックよりも2~3倍高くなります。これらは特定の用途には最適なソリューションですがサステナビリティではありません。

分析により、ハイドロチャックはシュリンクフィットチャックよりも生産エネルギーが約25kWh多くなります。加熱/冷却サイクルあたり約0.026 kWhのエネルギーが必要なシュリンクフィットチャックは、ハイドロチャックより多くのエネルギーを必要とします。しかし、製品のライフサイクルの観点から見ると、ハイドロチャック新品1本のエネルギーがシュリンクフィットチャック1本+1,000回の加熱/冷却エネルギーと同等であることが分かります。」これはミーリングチャックも同じことが言えます。多くの部品、グリスなどの多くの部品があるため、生産エネルギーがシュリンクフィットチャックより多いことが分かります。

ライフサイクルとプロセス信頼の重要性
生産コストの増加に加えて、メンテナンスの面でも違いがあります。HAIMERシュリンクフィットチャックは、高品質の特殊耐熱合金鋼によりメンテナンスが不要であり、特許取得済みのシュリンクフィット装置の加熱コイル及び技術と組み合わせることで、半永久的に工具の着脱ができます。ハイドロチャックやミーリングチャックは、クランプ力の確認、潤滑油やグリス塗布、定期メンテナンスのために約2~3年ごとにメーカーに返却する必要があります。

また、潤滑油やグリスが含まれているため、余分な部品を含まないシュリンクフィットチャックよりも環境に優しくありません。ライフサイクルに加えて、プロセスの信頼性の点でも大きな違いがあります。ドライ加工や加工プロセスで冷却が不十分な場合、ハイドロチャックでは高熱が発生してクランプチャンバーが破裂する危険性があります。また、工具が抜け落ち、ワークを破損する危険性があります。この点において、シュリンクフィットチャックは高い剛性と耐久性を持ちます。工具の抜けのリスクを完全に排除したい場合は、100% の安全性を実現するHAIMER Safe-Lockシステムを推奨します。

エネルギー消費の観点から
工具着脱時のエネルギー消費量は実際にどのように計算されるのでしょうか?現在のHAIMERシュリンクフィット装置では、シュリンクフィットチャックを加熱するのに約5秒かかります。経験豊富なユーザーは、一度の操作で摩耗した工具を抜き取り、新しい工具を装着します。

したがって、工具の着脱に加熱と冷却は1回行われます。HAIMER Power Clampは特許を持ったNew Generation(NG)コイルで加熱を行います。装置の消費電力は最大13kWですが、平均は8kWです。1回のプロセスで約0.011kWh消費されます。これに加えて、冷却には約0.015kWhが消費されますが、この装置には、同じエネルギー消費量で最大5つ並行して冷却できます。プロセス全体で合計0.026kWhになります。kwhあたりのコストが20セントだとすると、工具着脱時における加熱/冷却にかかるコストはわずか 0.5セントです。

また、工作機械一式の消費電力は約30kWである加工プロセスを考慮する場合、エネルギー消費はどのように分類されるべきでしょうか?ツールが約1年間使用されたと仮定します。高い同心性と剛性、またはスリムな輪郭による改善された加工方法により加工時間のわずか1%でも節約できるとすると、0.3kWh のエネルギーが節約されることになります。これは、加熱/冷却に使用されるエネルギー量の約11倍です。

アンドレアス・ハイマー氏は次のように要約します。「クランププロセスごとのエネルギー消費は、ライフサイクル、プロセスの信頼性、加工方法の問題に比べれば、無視できるものです。最新のCAD/CAMに最適化された加工方法により、加工時間の75パーセントを削減できます。このようなことに重点を置く必要があります。」持続可能で生産性を高めたい場合は、プロセスを改善します。そして第2ステップでは、これらに最適でプロセスの信頼性の高いツールホルダーを選択する必要があります。」



金属加工におけるサステナビリティ: ツールホルダーはどのような役割を果たしますか?
HAIMERのサステナビリティ
2023年に、HAIMERはグリーンインフラに100万ユーロ以上を投資しました。とりわけ、太陽エネルギーシステムは他の建物にも拡張され、LED照明に変換されました。これにより、年間250トン以上のCO2 が節約されています。


金属加工におけるサステナビリティ: ツールホルダーはどのような役割を果たしますか?
ハイブリッドチャックを持つアンドレアス・ハイマー氏

HAIMERグループの社長アンドレアス・ハイマー氏は、新しいハイブリッドチャックについて次のように述べています。「私達は、非常に幅広い種類のツールホルダーを提供しています。これらには、シュリンクフィットチャックだけでなく、ハイドロチャックも含まれます。2023年のEMOでは、世界で初めて、HAIMERハイブリッドチャックを発表しました。剛性の高いシュリンクフィットチャックに振動減衰特性を持たせたハイブリッドホルダーです。加工プロセスをさらに効率的かつ持続可能なものにする高いポテンシャルを持ったホルダーです。」




  さらに詳しく…

LinkedIn
Pinterest

フォロー(IMP 155 000フォロワー)